vSphere 7.0 から、vSphere で Kubernetes ワークロードを実行する機能が追加されました。vSphere 7.0 リリース時点では「vSphere with Kubernetes」、vSphere 7.0 U1 からは「vSphere with Tanzu」と呼ばれています。
ドキュメントは下記のあたりです。
この機能を「ちゃんとサポートされた構成」で構築するには、ハードウェア/ソフトウェア要件がわりと厳しめです。そこで今回は、とりあえず機能を体験するためのラボ環境(NSX-T あり)を構築してみます。
一連の投稿のまとめ
環境説明
スーパーバイザー クラスタでの Kubernetes は、NSX-T の利用を前提としています。これから構築するラボ環境のネットワーク構成は、下記のような感じになります。
NSX-T では、Tier-0 Gateway を手作業で作成しておく必要があります。(NSX の各要素の設定については、のちほど説明するつもり・・・)
vSphere Client から見ると、それぞれ下記のように見えます。
サーバ構成
今回は、下記のようなサーバ構成にしています。図の赤破線内の VM は、あらかじめ用意しておきます。
- 物理マシンは、サーバではなく、ちょっと性能がいい PC を利用します。
- ネステッド ハイパーバイザ環境です。(ESXi 上の VM に、ゲスト OS として ESXi をインストール)
- 頑張れば、もう少し CPU / メモリ リソースは削減できます。
- vCPU / vRAM 割り当てが大きい vCenter、NSX Manager、NSX Edge は、ネステッド ESXi の外側に配置。
- スーパーバイザー クラスタのラボ環境むけに、新規で vCenter を用意して、 ネステッド ESXi を登録しています。
ネストの内側の環境について
まず、今回スーパーバイザー クラスタにする vSphere 環境です。ESXi 3ノードの vSphere クラスタ(wcp-cluster-01)を構成しています。
バージョンは下記です。
- vCenter Server 7.0.0a
- ESXi 7.0 GA
ESXi の共有データストアは NFS を利用しました。
一般的には vSAN になると思いますが、ネステッド環境のスペックの都合上 NFS にしています。シン プロビジョニングになるので、搭載 VM の VMDK 合計よりも少ない容量(500 GB程度)です。
ESXi には、「ワークロード管理」の機能をもつライセンスが必要です。今回は、ESXi インストール直後の評価モード(60日間の)です。
ネストの外側の環境について
ここまでに紹介した「ネステッド vSphere」の外側の vSphere です。機能上ネステッド ESXi 上にのせる必要がない VM は、あえて外側の vSphere に配置しています。
下記の VM が稼働しています。
- ESXi の VM が 3つ
- vCenter
- NSX Manager
- NSX Edge (スクリーンショットにはまだ存在しない)
- NFS データストアにしている Linux VM
ネステッド ESXi(ESXi をインストールしている VM)の vNIC では、ネストむけのポートグループを割り当てます。この環境では vDS を利用しており、分散ポートグループは次のように設定しておきます。
- VLAN トランク(0-4094)。※vSS の標準ポートグループの場合は VLAN 4095。
- 無差別モード、MAC アドレス変更、偽装転送を「承諾」。
また、この vDS も NSX-T オーバーレイ ネットワークの経路になるので、MTU を 1600 に設定しておきます。
つづく。