VMware Cloud Director の小規模なラボ環境を構築します。今回は、vApp 内でルーティングできる「経路指定された組織 VDC ネットワーク」を作成します。
前回はこちら。
全体の流れはこちら。
今回の内容です。
- 1. 経路指定された組織 VDC ネットワークの作成 #1
- 2. 経路指定された組織 VDC ネットワークの作成 #2
- 3. 動作確認用 vApp の作成
- 4. 組織 VDC ネットワーク間でのルーティング確認
下図の赤枠のあたりを構築します。
1. 経路指定された組織 VDC ネットワークの作成 #1
1つめの経路指定された組織 VDC ネットワークを作成します。
テナント ポータルに、組織管理者(org-01-admin ユーザ)でログインして作業します。
「ネットワーク」→「ネットワーク」を開き、「新規」をクリックします。
「範囲」画面で、組織 VDC を選択して「次へ」をクリックします。
- 組織仮想データセンター: org-vdc-01
ネットワーク タイプを選択して、「次へ」をクリックします。
- ネットワーク タイプ: 経路指定
「Edge 接続」画面で、接続する Edge Gateway を選択して「次へ」をクリックします。
- Edge 接続: org-01-edge-01
「全般」画面で、作成するネットワークの名前と、ゲートウェイ CIDR を入力して「次へ」をクリックします。
- 名前: orgvdc-routed-nw-01
- ゲートウェイ CIDR: 10.0.1.1/24
「固定 IP プール」画面で、IP 範囲を追加して「次へ」をクリックします。
- IP 範囲: 10.0.1.100 - 10.0.1.199
「DNS」画面で、DNS サーバの情報を入力して「次へ」をクリックします。
- プライマリ DNS: 192.168.30.10
- DNS サフィックス: vcd.go-lab.jp
「設定内容の確認」画面が表示されるので「完了」をクリックします。
これで、組織 VDC ネットワークが作成されました。
2. 経路指定された組織 VDC ネットワークの作成 #2
同様に、2つめの経路指定された組織 VDC ネットワークを作成します。赤字部分が、1つめのネットワークとの差分設定です。
- 1. 範囲
- 組織仮想データセンター: org-vdc-01
- 2. ネットワーク タイプ: 経路指定
- 3. Edge 接続: org-01-edge-01
- 4. 全般
- 名前: orgvdc-routed-nw-02
- ゲートウェイ CIDR: 10.0.2.1/24
- 5. 固定 IP プール
- IP 範囲: 10.0.2.100 - 10.0.2.199
- 6. DNS ※あえて 1つめのネットワークとは別設定にしています。
- プライマリ DNS: 8.8.8.8
- セカンダリ DNS: 空欄
- DNS サフィックス: 空欄
3. 動作確認用 vApp の作成
作成した 2つの組織 VDC ネットワークを利用する vApp を作成して、実際にルーティングできるか確認します。
下記で作成した vApp テンプレート(vapp-template-01)から、vApp を作成します。
仮想マシンは、下記のようにネットワーク接続します。
- vm01 → orgvdc-routed-nw-01(10.0.1.0/24)
- vm02 → orgvdc-routed-nw-02(10.0.2.0/24)
テナント ポータルで、「アプリケーション」→「仮想アプリケーション」を開き、「新規」→「カタログから vApp を追加」をクリックします。
「ターゲット仮想データセンターの選択」で、組織 VDC を選択して「次へ」をクリックします。
- 組織 VDC: org-vdc-01
「インポートするテンプレートを選択」で、vApp テンプレートを選択して「次へ」をクリックします。
- テンプレート: vapp-template-01
「名前の選択」画面で、vApp の名前を入力して「次へ」をクリックします。
- 名前: vapp-04
「リソースの構成」では、そのまま「次へ」をクリックします。
「コンピューティング ポリシー」画面は、そのまま「次へ」をクリックします。
「ハードウェアをカスタマイズ」画面も、そのまま「次へ」をクリックします。
「ネットワークの構成」画面では、仮想マシンごとに別の組織 VDC ネットワークを選択して「次へ」をクリックします。
- 詳細ネットワークのワークフローに切り替える: ON
- vm01
- ネットワーク: orgvdc-routed-nw-01
- IP 割り当て: IP プール
- vm02
- ネットワーク: orgvdc-routed-nw-02
- IP 割り当て: IP プール
「設定内容の確認」が表示されるので、「完了」をクリックします。
作成された vApp(vapp-4)を開きます。
vapp-04 の「ネットワーク図」を開くと、仮想マシンがそれぞれ別のネットワークに接続されていることがわかります。
vApp(の仮想マシン)を起動するまえに、疎通確認をしやすいようにゲスト OS の設定を変更しておきます。
vapp-04 の「仮想マシン」→「vm01」を開きます。
vm01 の「ゲスト OS のカスタマイズ」→「編集」をクリックします。
「ゲスト プロパティの編集」画面で、下記を入力て「次へ」をクリックします。
- 全般
- ゲストのカスタマイズを有効化: ON
- パスワードのリセット
- ローカル管理者パスワードを許可: ON
- パスワードを自動生成: OFF
- パスワードを指定: VMware1!
- スクリプト
- スクリプト ファイル: (下記の2行を入力)
systemctl stop iptables systemctl disable iptables
「vm02」についても、vm01 と同様に設定しておきます。
その後、vApp の「開始」をクリックして、仮想マシンをパワーオンします。
4. 組織 VDC ネットワーク間でのルーティング確認
vm01 と vm02 の各行の後方を確認すると、組織 VDC ネットワークに設定した IP アドレス プールからアドレスが割り当てられていることがわかります。
今回の仮想マシンには、下記のように IP アドレスが割り当てられています。
- vm01 → 10.0.1.100
- vm02 → 10.0.2.100
vm01 の仮想マシン コンソールを開いて、組織 VDC ネットワーク間でルーティングされていることを確認しておきます。
テナント コンソールで表示されていた IP アドレスが、vm01 のゲスト OS にも設定されていることを確認します。
root@vm01 [ ~ ]# ip address show dev eth0
vm01 から vm02 へ ping を実行して、応答があることを確認します。
root@vm01 [ ~ ]# ping 10.0.2.100
実際にコマンドを実行すると、下記のように確認できるはずです。
つづく。