VMware Cloud Director(VCD)で、ネステッド ESXi のラボ環境を構築してみます。今回は、2台のネステッド ESXi(ESXi 仮想マシン)で構成されたシンプルな vApp を作成してみます。
今回の VCD 環境
VCD は、下記の一連の投稿で構築した環境を利用しています。
ラボ構築の方針
vApp の中で、ESXi 同士と仮想マシン同士が VLAN ネットワークを使用できるラボ環境を構築します。
- ESXi 仮想マシン(ネステッド ESXi)上で起動された仮想マシン(ネステッド仮想マシン)同士が、VLAN で通信できる環境を構築します。ただし、このネットワークは vApp 内で閉じておきます。
- ネステッド ESXi の操作は、検証しやすいように vApp の外部から Web ブラウザ / SSH で可能にしておきます。
- vCenter や共有データストアの構築は対象外にしています。ただし、あとで増築できるようにはしておきます。
ラボの構成イメージ
これから VCD に構築するネステッド ESXi ラボは、下記のようなイメージです。
- ESXi 仮想マシンを 2つ含む vApp を作成する。
- vCenter は構築しない。ただし、外部の vCenter から接続して操作できるようにはしておく。
ラボのネットワークまわりの構成は、下記のようになります。
- 192.168.31.0/24 のネットワークを、ESXi 仮想マシンの管理ネットワークとして使用する。
- この管理ネットワークは、ネステッド ESXi むけの設定がされていない通常のネットワーク(ポートグループ)として用意する。VCD では、外部ネットワークとして設定する。
- Host Client や SSH で操作しやすくするため、ESXi 仮想マシンには、VCD の外部のネットワークから SSH 接続できるようにしておく。
- ESXi 仮想マシン内の管理通信の経路は、vmnic0 → vSwitch0 → vmk0。
- 外部ネットワークでは VLAN 31 を使用しているが、ESXi 仮想マシンの vNIC(NIC 0)に接続されたネスト外側の分散ポートグループで終端される。そのため、ESXi 仮想マシン内部の vmk0(が接続された vSwitch0 のポートグループ)はデフォルト設定のまま VLAN 0 になっている。
- ESXi 間で、VLAN ネットワークの疎通確認ができるようにする。
- たとえば、ESXi 仮想マシン同士で VLAN 10 が通信できるようにする。
- ゲスト VLAN を通すため、NSX-T のオーバーレイ セグメントでは VLAN トランク(0 - 4094)が設定される。
- ネステッド ESXi 上にある、ネステッド仮想マシンを接続するネットワークは、ESXi 仮想マシンの管理接続ネットワークとは分離する。
- ESXi 仮想マシン内での経路は、vmnic1 → vSwitch1 → ネステッド仮想マシン用ポートグループ(VLAN 終端) → ネステッド vNIC。
- このネットワークの通信には、vApp に隔離された「vApp ネットワーク」を利用する。
ネステッド仮想マシンを接続する vApp ネットワークでは、下記の設定をした NSX-T オーバーレイ セグメントがバッキングとして作成されます。
- ネステッド ESXi の VMkernel ポートと、ネステッド仮想マシンの MAC アドレスからの通信を通すため、MAC ラーニングを有効化。
- ネステッド ESXi の仮想スイッチ / ポートグループで設定した VLAN を通過させるために、VLAN トランク(0-4094)を設定。
構築の流れ
今回のラボ構築は、ネステッド環境むけネットワークを作成する準備、ESXi 仮想マシンの vApp テンプレート作成、2台の ESXi を含む vApp の作成、vApp へのネステッド環境むけネットワークの作成、といった 4ステップで作業します。
- Part-01 Nested ESXi むけネットワーク作成の準備
- Part-02 ESXi 仮想マシンの作成
- Part-03 Nested ESXi vApp の作成
- Part-04 vApp ネットワークの作成
つづく。