vSAN 7.0 U2 では、障害発生時にデータ損失リスクを低減して、障害復旧時に再同期を短縮できる「持続性コンポーネント(Durability Component)」という仕組みが導入されました。そこで、実際に持続性コンポーネントが作成される様子を眺めてみます。
リリース ノートでは、下記のあたりです。
計画外の障害への対応。vSAN 7.0 Update 2 では、ホスト、ディスク、またはネットワークで発生した計画外の障害を許容できるように、障害発生時に追加の持続性コンポーネントを生成し、データの持続性を強化しています。
ドキュメントでは、下記のあたりです。
下記のブログも参考になります。
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Enhanced Data Durability During Unplanned Events, vSAN 7 Update 2
- vSAN 7.0 U2 Durability Components? | Yellow Bricks
今回の内容です。
今回の環境
今回は、vCenter Server 7.0 U2 と、ESXi 7.0 U2 を利用しています。
vCenter Server 7.0 U2 です。
ESXi も 7.0 U2 です。
フォルト ドメインは作成せず、デフォルトのままです。
持続性コンポーネント(Durability Component)が作成される様子
持続性コンポーネントは、VM が起動中でなくても作成されます。
ためしに、vSAN データストアに「vSAN Default Storage Policy」を割り当てた VM「vm01」 を配置しました。
仮想マシン ストレージ ポリシー「vSAN Default Storage Policy」は、デフォルトのままで、RAID1(FTT 1)です。
初期状態の、仮想ディスクのコンポーネント配置です。
コンポーネントが配置されているホストを、1台だけメンテナンスモードに移行してみます。
vSphere Client の更新ボタンをクリックすると、アクセスできなくなったホストに配置されているコンポーネントには、すぐに「持続性コンポーネント」が作成されました。
そしてメンテナンス モードを解除すると、すぐにもとのコンポーネントに戻ります。(今回は VM を停止していることもあり、一瞬で戻ります。)
監視オブジェクトの場合
監視(Witness)オブジェクトには、持続性コンポーネントは作成されないようです。
監視オブジェクトが配置されているホストをメンテナンス モードにしたところ、・・・
持続性コンポーネントは作成されず、別ホストに監視オブジェクトが再作成されました。(監視オブジェクトは数 MB 程度のデータなので、再作成した方が早いということかなと思えます)
RAID6 の仮想ディスクでの様子
ためしに、RAID6 の仮想ディスクでも様子を見てみました。
vSAN オブジェクトでの RAID6 では、6ノードの ESXi ホストにコンポーネントが分散されます。そこで、今回は障害中に持続性コンポーネントが作成できるように、余裕をもって 8ノードの vSAN クラスタを用意してあります。
追加作成した「RAID6」ポリシーを割り当てた、vm02 を作成しました。
「RAID6」ポリシーは、実際に RAID6 になるようにルール設定してあります。
この VM の仮想ディスク オブジェクトは、6ノードにコンポーネントが分散されています。
さきほどと同様に、コンポーネントの1つが格納されているノードをメンテナンス モードに移行したところ、RAID1 のコンポーネントと同様に、持続性コンポーネントが作成されました。そしてメンテナンス モードを解除すると、すぐに通常のコンポーネントに戻ります。
ここまでは、停止している VM で動作確認していましたが、当然ながらパワーオンの VM でも持続性コンポーネントは作成されます。
起動中の VM のコンポーネントが格納されている ESXi ホストを停止すると、持続性コンポーネントが作成されます。ただし、ESXi ホストをダウンさせた場合は、vSphere Client での画面更新(ダウンしたホストのかかわる情報の表示)に、少し時間がかかります。
全ホストを正常稼働させたあと、あらためて、コンポーネントが配置されている 2台の ESXi ホストをダウンさせてみました。その場合、1つの障害コンポーネントでは持続性コンポーネントが作成されますが、もう1つのコンポーネントまでは作成されないようです。(1つ作成しておけば充分、ということかなとも思えます)
ちなみに、この状態のコンポーネントを vCenter Server Applience の rvc から確認してみると、持続性コンポーネントが RAID_D と表現されていたりします。(VM はとりあえず作成したものなので、容量がひどかったりします)
以上、vSAN 7.0 U2 の持続性コンポーネントの様子を見てみる話でした。