ネスト環境で、NSX 4.1 のラボを構築していきます。今回は、これから NSX を導入する vSphere クラスタが、ネスト外側の vSphere 環境でどのように構成されているか紹介します。
構成するラボ環境の概要については、前回の投稿をどうぞ。
今回の内容です。
1. 前提となるインフラ / 管理サーバ群の準備
まずは、DNS / NTP / vCenter などの用意について説明します。
これらのサーバは今回構築する vSphere + NSX ラボ上での稼働が必須ではないため、ネスト外側の vSphere に構築してあります。
1-1. DNS サーバ
DNS サーバに、vSphere と NSX のコンポーネントの名前解決をするレコードを登録しておきます。このラボでは、下記の正引き/逆引き(A / PTR)のレコード登録してあります。
- vCenter Server: lab-vc-02.go-lab.jp
- ESXi: lab-esxi-21.go-lab.jp ~ lab-esxi-24.go-lab.jp
- NSX Manager: lab-nsx-21.go-lab.jp
1-2. NTP サーバ
ネスト環境では普通の仮想化環境よりも時間がずれやすいので、ネスト外部にある NTP サーバとの時刻同期がよいかなと思います。
本来は 3台以上の NTP サーバを用意すべきですが、このラボでは 2台のみ登録しています。
1-3. NFS サーバ
共有データストアむけに、Linux の NFS サーバを用意しておきます。私の自宅にはハードウェア アプライアンスのストレージがないので、このラボでは下記のような手順で構築した Linux 仮想マシンを利用しています。
1-4. vCenter Server(VCSA)
VCSA は、最小(tiny)サイズでデプロイしています。
ちなみに、何度も VCSA をデプロイするのであれば、vcsa-deploy.exe / vcsa-deploy を利用した CLI でのデプロイがおすすめです。
デプロイ手順は、以前に投稿した Horizon 8 ラボ構築 でも紹介しています。手順は vCenter 7.0 U3 のものですが、vCenter 8.0 U2 でも同様です。
2. ESXi VM
ネステッド ESXi となる、ESXi をインストールする仮想マシン(ESXi VM)について設定のポイントを紹介します。
2-1. ESXi VM のゲスト OS 選択
NSX ラボを構成する ESXi は、仮想マシンとして作成しています。
vSphere Client での表示上は「VMware ESXi 7.0 or Later」となっていますが、この仮想マシンにはゲスト OS として ESXi 8.0 U2 がインストールされています。
2-2. ESXi VM の vCPU
このラボの ESXi VM では、ESXi インストールに必要な 2 vCPU を割り当てています。
ネステッド ハイパーバイザ上で仮想マシンを起動するために必要な、vCPU での「ハードウェア仮想化」を有効化しておきます。
2-3. ESXi VM のメモリ
このラボでは、16GB にしています。実際にこのメモリ容量を使い切るわけではないので、オーバーコミットも可能です。
ちなみに容量が少ないと、NSX インストール処理や、そのあとの ESXi 再起動などでエラーになったりします。
2-4. ESXi VM のネットワーク アダプタ
ネステッド ESXi には、仮想スイッチを2つ作成し、それぞれにネットワーク アダプタを2ポート割り当てられるようにします。ネットワーク アダプタは、4つ作成しておきます。
2-5. ESXi VM の VMDK(ブート デバイス / ローカル データストア)
ESXi VM に ESXi をインストールするローカルディスクは、仮想ディスク(VMDK)として作成しておきます。
ブート デバイス用の VMDK は、容量が少なすぎると、 NSX インストール処理やその後の ESXi 再起動などでエラーになったりするので、すこし余裕を持って割り当てておきます。
- ハード ディスク 1
- キャパシティ: 64 GB
- タイプ: シン プロビジョニング
ローカル データストア用の VMDK は、このラボでは NFS データストアを用意してあるので作成しません。
仮想マシンを作成したら、ESXi をインストーラ ISO ファイルからインストールしておきます。
3. 共有データストア
NSX 自体は共有データストアがなくても動作しますが、あると便利なので用意しておきます。このラボでは NSX Edge とテスト用の仮想マシンなどをシン プロビジョニングで数台配置するだけなので、ひとまず容量は 300GB にしてあります。
NFS は、ネスト内側の vCenter で管理する ESXi 全台(4台)にマウントしておきます。
ちなみに、ネステッド vSAN でラボを構築することは可能です。しかし今回は、ESXi VM の CPU / メモリ リソース消費をおさえるため NFS を採用しています。
4. 物理マシン / ネスト外側でのネットワーク構成
ネットワーク構成については、ネスト環境ならではの工夫が必要です。これは次回の投稿で、ネスト内側での仮想スイッチの設定とあわせて紹介します。
つづく。