vSphere では、ネステッド ハイパーバイザ環境を利用することで、少ない物理マシン台数で多くの ESXi ホストによるクラスタを用意できます。今回は、私の自宅ラボでのネステッド vSphere / vSAN 環境構築の工夫について紹介します。
今回の内容です。
- 今回の話のイメージ図
- vCenter Server / 物理マシン ESXi / ネステッド ESXi の配置
- ストレージ(データストア / VMDK)
- ネットワーク(仮想スイッチ / ポートグループ / vNIC)
今回の話のイメージ図
以前に紹介した自宅ラボ イメージ図の、下記の赤枠のあたりについての紹介です。
vCenter Server / 物理マシン ESXi / ネステッド ESXi の配置
自宅ラボでの vSphere や vSAN は、おおにネスト環境として構築しています。
物理 ESXi / ネステッド ESXi と、vCenter Server の管理関係については、基本的にネスト環境側に専用の vCenter Server を用意しています。
ネスト環境 vCenter を、ネスト外側に配置する理由としては・・・
- vCenter(VCSA)はリソース割り当てが大きいので、ネスト内側に配置しにくい。
- とくに vSAN そのものを勉強するためには、vCenter は vSAN の外にある方が理解 / 管理しやすい。
ちなみに、おもな物理マシンの構成は下記のようになっています。
- CPU: 4コア / 8スレッド
- メモリ: 64GB
- ローカル ストレージ:
- ESXi インストール: 64GB USB メモリ
- キャッシュ: 256GB M.2 SSD
- キャパシティ:1TB SSD
- NIC: 1Gbps を 1ポート(オンボード or USB)
ストレージ(データストア / VMDK)
ネステッド ESXi での vSAN ディスクの実体は、ESXi VM に接続された VMDK ファイルです。物理マシンの SSD ローカル データストア上に VMDK を作成すると、ネステッド ESXi 側でも も SSD として認識されます。
そこで、ネステッド vSAN で構成したいディスク構成によって、仮想マシンの VMDK 接続設定やネステッド ESXi 側の設定で、ディスク認識を調整しています。
- ネステッド vSAN(Hybrid): キャッシュ用デバイスを HDD として認識させる
- ネステッド vSAN(All Flash): キャッシュ / キャパシティどちらも SSD のまま
- ネステッド vSAN(ESA): VMDK を仮想 NVMe コントローラで接続
また、 以前に紹介 したように、ネステッド vSAN ではクローンなどのパフォーマンスが下がることが多いので(このラボのようにネットワーク帯域が少ない場合は特に)、可能ならローカル SSD によるデータストアを構成したほうが無難です。
ネットワーク(仮想スイッチ / ポートグループ / vNIC)
ネステッド ESXi 上に仮想マシン(Nested VM)を作成した場合、Nested VM の vNIC が MAC アドレスを持ち、VLAN に接続されます。そして物理マシンの ESXi 側では、自身の仮想スイッチに直接接続されていない MAC アドレス / VLAN の通信が発生します。
ネステッド ESXi 側でネストを意識することなくネットワークを構成するために、物理マシンの ESXi で、ネスト側の仮想スイッチ / vNIC に対応するため下記の設定をします。
- 無差別モードを承諾(許可)する。
- これで 自身の MAC アドレス以外の通信も受け取るようになる。
- vDS の場合は、MAC ラーニングを設定する。
- 偽装転送を承諾(許可)する。
- ネスト側の VLAN が通過できるようにする。
- vSS の場合: VLAN ID 4095 を設定する。
- vDS の場合: VLAN Trunk を設定する(例: 0-4094)
ちなみにネステッド vSAN を構成する場合、VMkernel(vmk)ポートに vSAN トラフィックを有効にする必要があるのは、ネステッド ESXi 側の vmk ポートです。
つづく。