VMware Horizon の操作を検証するために、小規模なラボを構築していきます。今回は、仮想デスクトップのクローン元にする仮想マシンを用意します。通常は Windows 10 や Windows 11 といったクライアント OS でデスクトップ プールを作成しますが、今回はとりあえずの動作確認として、AD や Horizon Connection Server の構築でも使用した Windows Server 2019 仮想マシンを流用します。
前回はこちら。
今回の内容です。
- 1. 仮想マシンの用意(Windows Server 2019)
- 2. Horizon Agent のインストール(サイレント)
- 3. テンプレートへの変換
- 4. ゲスト OS カスタマイズ仕様 の作成
- 5. Horizon での Windows Server デスクトップ有効化
1. 仮想マシンの用意(Windows Server 2019)
Sysprep を実行してある仮想マシンから、ゴールデン イメージにする仮想マシン(win2019-template-01)をクローン作成します。
仮想マシンのスペックは下記にしました。
- vCPU: 1
- メモリ: 4GB
仮想マシン「win2019-template-01」を起動すると、Sysprep の効果により OOBE(Out of Box Experience)の画面が表示されるので、前回の手順 と同様にウィザードに従って進めます。
win2019-template-01 は、ネットワーク アドレスが DHCP による自動取得になっているので、vSphere Client から IP アドレスを確認して、リモートデスクトップ経由で接続します。ここからは、のローカル Administrator でログインして作業します。
2. Horizon Agent のインストール(サイレント)
ゴールデン イメージ(仮想デスクトップのクローン元にする仮想マシン)には、Horizon Agent をインストールしておく必要があります。
win2019-template-01 には、C:\work フォルダを作成して下記のようにインストーラ ファイルを配置しました。
- C:\work\VMware-Horizon-Agent-x86_64-2203-8.5.0-19564166.exe
手順簡素化のため、Horizon Agent でもサイレント インストールを実施します。
サイレント インストールについては、下記の VMware ドキュメントが参考になります。
PowerShell コンソールから、サイレント インストールのコマンド ラインを実行します。インストール処理の中で、自動的に Windows が再起動されます。
ただし、/v"~" でさらにオプションを追加してインストールする場合は、PowerShell だとうまく動作しないので cmd.exe のコンソールから実行します。
C:\work\VMware-Horizon-Agent-x86_64-2203-8.5.0-19564166.exe /s /v/qn
ちなみに、Horizon Agent のコンポーネントは下記のようにインストールされています。Local がインストール、Absent が未インストールです。
PS C:\Users\Administrator> Get-Item 'HKLM:\SOFTWARE\VMware, Inc.\Installer\Features_HorizonAgent\' Hive: HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\VMware, Inc.\Installer Name Property ---- -------- Features_HorizonAgent BlastUDP : Local ClientDriveRedirection : Local Core : Local GEOREDIR : Absent HelpDesk : Local HybridLogon : Absent NGVC : Local PerfTracker : Absent PrintRedir : Local PSG : Absent RDP : Local RDSH3D : Absent RTAV : Local ScannerRedirection : Absent SdoSensor : Absent SerialPortRedirection : Absent SmartCard : Absent SmartCardSingleUserTS : Absent TSMMR : Absent URLRedirection : Absent USB : Absent V4V : Local VMWMediaProviderProxy : Absent VmwVaudio : Local VmwVdisplay : Absent VmwVidd : Local
3. テンプレートへの変換
vSphere Client で、仮想マシンをシャットダウンして、テンプレートに変換します。
仮想マシンをクローンする際には、Windows に設定された固有情報をリセットするために、事前に Sysprep を実行しておくことがあります。しかし、この処理はデスクトップ展開処理の中で実行されるように工夫されているので、そのままシャットダウンしてテンプレートに変換しておきます。
仮想マシン「win2019-template-01」をシャットダウンします。
仮想マシンを選択して、「アクション」(もしくは右クリック)→「電源」→「ゲスト OS のシャットダウン」をクリックします。
仮想マシンが停止したら、テンプレートに変換します。
仮想マシンを選択して、「アクション」(もしくは右クリック)→「テンプレート」→「テンプレートに変換」をクリックします。
これで、仮想マシン テンプレート「win2019-template-01」が用意できました。
4. ゲスト OS カスタマイズ仕様 の作成
後続手順での Horizon のデスクトップ プール作成で、仮想マシンをクローンするために、vCenter の「仮想マシンのカスタマイズ仕様」が必要になります。
クローン元の仮想マシンとあわせて、vSphere Client であらかじめ作成しておきます。
「customspec-win2019-01」という仮想マシンのカスタマイズ仕様を作成します。
「ポリシーおよびプロファイル」→「仮想マシンのカスタマイズ仕様」を開き、「新規」をクリックします。
「名前とターゲット OS」では、カスタマイズ仕様の名前を入力して、「NEXT」をクリックします。
- 名前: customspec-win2019-01
ここでは、「新規セキュリティ ID (SID) の作成」はオンのままにしておきます。
「登録情報」にある「所有者」と「所有者組織」には、任意の値(今回は homelab)を入力して「NEXT」をクリックします。
「コンピュータ名」では、デフォルトの「仮想マシン名を使用」を選択したまま「NEXT」をクリックします。
「Windows ライセンス」では、「サーバ ライセンス情報」のチェックをオフにして「NEXT」をクリックします。
「管理者パスワード」では、ゲスト OS のローカル Administrator のパスワードを 2回入力して「NEXT」をクリックします。
「タイムゾーン」では、「(UTC+09:00) 大阪、札幌、東京」を選択して「NEXT」をクリックします。
「1回実行するコマンド」は、そのまま特に入力せず「NEXT」をクリックします。
「ネットワーク」では、デフォルトの「ゲスト OS に標準ネットワーク設定を使用します」を選択したまま「NEXT」をクリックします。
この設定により、これまでの手順で構築した DHCP サーバによってネットワーク設定が行われることになります。
「ワークグループまたはドメイン」では、以下のパラメータを入力してから「NEXT」をクリックします。
- 「Windows サーバのドメイン」を選択。
- ドメイン名: euc.go-lab.jp(もしくは NetBIOS 名の「EUC」)
- ユーザ名: Administrator
- パスワード: ドメイン Administrator のパスワード
「設定の確認」でこれまでの設定内容を確認して、「FINISH」をクリックします。
これで、仮想マシンのカスタマイズ仕様が作成できました。
5. Horizon での Windows Server デスクトップ有効化
Horizon 8 では、デフォルトでは Windows Server による仮想デスクトップ作成が無効化されています。今回は、Windows Server 2019 の仮想デスクトップを作成するため、Horizon Console で有効化しておきます。
Horizon Console で、「設定」→「グローバル設定」→「全般設定」を開き、「編集」をクリックします。
「Windows Server デスクトップを有効にする」のチェックをオンにして、「OK」をクリックします。
次は、ここまでに作成した仮想マシン テンプレートとカスタマイズ仕様を利用する、Horizon のデスクトップ プールを作成します。
つづく。